【バイトの制服クリーニング】家で洗って返却はバレる?プロが教える「タグ」の罠と損害賠償のリアル

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「やっとバイト辞められる!でも最後の制服クリーニング代、正直もったいないな…」そう思って、自宅の洗濯機で洗ってアイロンをかけ、「クリーニング済み」として返却しようとしていませんか。

その気持ち、痛いほど分かります。最後の給料から数千円が飛ぶのは辛いですよね。でも、国家資格を持つクリーニング師として、そして店を切り盛りする母として断言します。

その「家洗い」は、残念ながら100パーセントバレます。たかがクリーニング、されどクリーニング。「バレなきゃいい」という安易な考えが、最後の最後で泥沼のトラブルを招かないよう、プロしか知らない「見分け方」と「安く済ませる知恵」をこっそりお教えします。

洗濯機で洗っただけじゃダメ?「バレない」と思っているのはあなただけ

まず現実をお伝えしましょう。プロのクリーニングと家庭での洗濯は、仕上がりの次元がまったく異なります。「アイロンを丁寧にかければ分からないはず」と頑張る学生さんがいますが、プロの目は誤魔化せません。

決定的な違いは「プレス(圧力)」と「匂い」です。私たちプロが使う業務用プレス機は、高温の蒸気と強い圧力で繊維を一気に寝かしつけます。これにより、家庭用アイロンでは絶対に出せない「パリッとした鋭い折り目」と「立体的な仕上がり」が生まれます。

一方、家庭洗濯はどうしても柔軟剤の甘い香りが残りますし、繊維の奥のヨレまでは取れません。店長やマネージャーは、何百着もの制服を見てきたプロではありませんが、毎日その制服を見ている「管理者」です。「なんか匂いが違う」「シワの伸びが甘い」という違和感で、すぐに勘づかれてしまいます。

店長が真っ先にチェックする「タグ」の秘密

バレるかバレないかの最大の分かれ目は、実は仕上がり以上に「タグ」にあります。クリーニングに出すと、必ず「管理タグ(番号が書かれた小さな紙)」がホチキスや安全ピンで付けられて戻ってきます。これが「クリーニング済みの証明書」なのです。

「じゃあ、前のタグを付けっぱなしにしておけばいい?」と考える知能犯もいますが、それも危険です。私たちクリーニング店は、毎回新しい色のタグや、新しい番号のタグを付けます。古いタグは洗う過程でインクが薄くなったり、紙がヨレヨレになったりしているため、「洗っていない古いタグ」であることは一目瞭然です。返却時に「タグ確認しますね」と言われた瞬間、冷や汗をかくことになります。このタグがない、あるいは古い状態のまま返却することは、「私はクリーニングに出していません」と自白しているのと同じことなのです。

「クリーニング済み」と嘘をついて返却するリスクと代償

もし「クリーニングしました」と嘘をついてバレた場合、単に気まずいだけでは済みません。次のバイトスタッフがその制服を着た時に「汗臭い」「汚れが落ちていない」とクレームになれば、店側はあなたに連絡を取らざるを得なくなります。

最悪の場合、「契約不履行」として、最終給与からクリーニング代を天引きされたり、後日わざわざ店舗に呼び出されて代金を請求されたりするケースもあります。また、制服がリース契約(レンタル)だった場合、指定業者でのクリーニングが義務付けられていることが多く、勝手な家洗いは「器物破損」扱いになるリスクすらあります。数百円から数千円をケチった結果、電話が鳴り止まない恐怖を味わうのは割に合いません。

ケチる金額じゃない!制服クリーニングの相場と「信用」の値段

では、実際にどれくらいのお金がかかるのでしょうか。一般的なクリーニング店の相場を知っておけば、それが「リスクを冒してまで節約すべき金額か」を冷静に判断できるはずです。

アイテム 一般的な相場(税込) 家洗いのリスク
ワイシャツ・ブラウス 200円〜350円 襟・袖の皮脂汚れが落ちず黄ばみやすい。アイロンが難しい。
スラックス・スカート 500円〜700円 センタープレス(折り目)が二重になったり消えたりしてバレる。
ジャケット・ブレザー 700円〜900円 型崩れしやすく、芯地が剥離すると修復不可能になる。
エプロン 300円〜500円 油汚れが酸化している場合、家庭洗濯では臭いが戻る。
全身セット 1,500円〜2,500円 この金額で「円満退社」が買えるなら安い。

このように、フルセットでも2,000円前後です。これで「立つ鳥跡を濁さず」を実践できるなら、社会勉強代として安いものだと割り切りましょう。

退職時のトラブル回避!洗わずに返すと給料から引かれる?

退職時に「洗う時間がなかった」とそのまま返却しようとする方もいますが、これはお勧めしません。多くの雇用契約書や就業規則には「貸与品は原状回復して返却すること」といった条項が含まれています。

もし洗わずに返却した場合、店側は「代行してクリーニングに出す」ことになりますが、その際の手数料や手間賃を含めて、実費以上の金額を請求される可能性があります。

また、法律上、同意なしの給料天引きは原則禁止されていますが、「制服クリーニング代としての控除」に同意するサインを入社時にしている場合が多く、自動的に引かれることがほとんどです。手渡しで「すみません、これで洗ってください」と現金を渡すのもスマートではありませんし、店側に余計な仕事を増やすことになります。

疑われないために!クリーニング済みの「証拠」をどう渡すか

クリーニングに出したのに「本当に洗った?」と疑われないための鉄則があります。それは、「ビニールカバーとタグは絶対に外さない」ことです。

私たちクリーニング店が掛けるビニールカバーは、ほこり除けであると同時に「未開封=未使用」の証です。これを付けたまま、タグも付けたままの状態で袋に入れて渡せば、店長はいちいち中身を確認する必要がなくなります。これこそが、もっとも相手に安心感を与える渡し方です。

「せっかくだからハンガーから外して畳んで…」という気遣いは、この場面では不要です。そのままの状態で「クリーニング済みです」と渡すのが正解です。レシートも念のため財布に入れておくと、万が一の時に無実を証明できます。

店に行くのが気まずい、面倒くさいなら「宅配クリーニング」一択

「バイト先の人ともう顔を合わせたくない」「忙しくてクリーニング店に行く時間がない」という場合は、宅配クリーニングを活用しましょう。

最近では、コンビニから24時間発送できるサービスや、スマホ一つで集荷に来てくれるサービスが充実しています。さらに裏技として、バイト先の店長の許可が得られれば、クリーニング店から直接バイト先に「仕上がり品」を配送してもらうことも可能です(住所指定ができる場合)。

これなら、あなたは店に行く必要すらありません。多少送料がかかっても、気まずい思いをして手渡しするストレスをお金で解決できるなら、非常に賢い選択肢と言えるでしょう。

クリーニングママ

国家資格を持つクリーニングママ店主。プロの技×主婦の目線で、洗濯を「ラクで綺麗」にするコツを発信しています

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