「お気に入りのレーヨンのブラウスを洗ったら、雑巾みたいにシワシワで小さくなっちゃった!」
レーヨンは絹に似た光沢があって素敵な素材ですが、水に濡れると急激に弱くなり、激しく縮んでシワになるという困った性質を持っています。
クリーニング師として言わせてもらうと、レーヨンは衣類の中で最も「扱い注意」な素材。
でも諦めるのはまだ早いですよ。
アイロンのコツや洗い方のルールさえ覚えれば、そのシワを消して再び美しく着こなすことができます。
プロが培ってきた秘密の技を丁寧にお教えしますね。
レーヨンが水に負ける理由と「洗濯機が天敵」なわけ
レーヨンの繊維は、木材パルプから作られた再生繊維です。
この繊維の最大の特徴は、水を吸う力が非常に強く、濡れると繊維がパンパンに膨らんでしまうことにあります。
膨らんだ繊維は元あった場所からズレてしまい、その状態で乾くことで強固なシワが固定されてしまいます。
さらに水の中では強度が半分以下に落ちるため、洗濯機の強い水流で揉まれると、繊維同士が絡まり合って「縮み」と「シワ」のダブルパンチを受けることになるのです。
レーヨンにとって洗濯機は、まさに戦場のような過酷な場所だと言えますね。
乾いたレーヨンにアイロンは無意味!シワを消す「霧吹き」の絶対ルール
シワシワになったレーヨンを乾いた状態でいくらアイロンしても、全くシワが伸びないと感じたことはありませんか。
それは、繊維がガチガチに固まってロックされているからです。
レーヨンのシワを伸ばすには、適度な「水分」で繊維のロックを解除してあげる必要があります。
ここで大切なのが、霧吹きの使い方です。
全体にムラなく、ほんのりと湿り気を感じる程度にスプレーするのがプロの技。
水滴が大きすぎると「水シミ」になるリスクがあるため、細かいミストが出る霧吹きを選んでください。
湿らせることでようやく、繊維はアイロンの熱を受け入れてくれるようになります。
レーヨン特有の「水シミ」を防ぎながらシワを伸ばす極意
「スチームアイロンを使えば楽じゃない?」と思うかもしれませんが、レーヨンには注意が必要です。
スチームの水分が多すぎると、生地の一部だけが再び膨らんでしまい、「輪ジミ」と呼ばれるシミが残ってしまうことがあるからです。
これを防ぐには、直接アイロンを押し当てる前に、少し浮かせてスチームを当てるか、あて布をすることが鉄則です。
また、アイロンの温度は「中温(140度から160度)」がベスト。
高温すぎると繊維が溶けたり、テカリが出たりするため、欲張らずに中温でじっくり伸ばしていきましょう。
| 項目 | アイロンのコツ | 注意点 |
| 温度設定 | 中温(140〜160度) | 高温はテカリや溶けの原因 |
| 水分の与え方 | 細かい霧吹き | スチームの使いすぎは輪ジミを招く |
| アイロンの動かし方 | 滑らせず、押さえるように | 引っ張りすぎると形が歪む |
| 仕上げの処理 | あて布を使用 | 直接当てると光沢が不自然になる |
シワの8割は脱水で決まる!レーヨンを救う「15秒脱水」とタオルドライの魔法
そもそもシワを最小限にするには、洗い方の段階から勝負が始まっています。
もし家で洗うなら、脱水時間は「15秒から30秒」に設定してください。
洗濯機の脱水は非常に強力で、1分以上回すとレーヨンは再起不能なほどのシワが刻まれます。
理想を言えば、脱水機を使わずに、バスタオルで挟んで優しく水気を取る「タオルドライ」が一番。
水分を適度に残した状態で干すことで、自重(水の重み)でシワが自然に伸びてくれます。
干す前のひと手間が、仕上がりのアイロン時間を劇的に短縮してくれますよ。
縮んだサイズもシワも一気に戻す!プロが教える「湿りプレス」の力加減
シワと同時に「丈が短くなった」という悩みも多いですよね。
これはアイロンをかけながら「伸ばす」作業を加えることで、解決できる場合があります。
生地を霧吹きで湿らせた後、アイロンを持っていない方の手で、生地を優しくピンと張ります。
そして、アイロンでその形を固定するようにプレスしていくのです。
これを「テンションをかける」と言いますが、力任せに引っ張ると縫い目が避けたり、生地が歪んだりするので注意。
「元のサイズに戻れ」と優しく語りかけるような力加減が、成功の秘訣です。
レーヨンの柔らかさを守る「おしゃれ着洗剤」の役割
洗剤選びも、シワの強弱に関わってきます。
一般的な粉末洗剤や液体洗剤(弱アルカリ性)は、繊維を膨らませる力が強いため、シワがより深く刻まれてしまいます。
レーヨンを洗うなら、必ず「おしゃれ着洗剤(中性洗剤)」を使ってください。
中性洗剤は繊維への刺激が少なく、水による膨張をある程度抑えてくれる働きがあります。
また、柔軟剤を併用することで、繊維の表面が滑らかになり、アイロンの滑りが良くなるだけでなく、シワがつきにくい状態を作ることができます。
シワを伸ばして美しく乾かす「平干し」の重要性
洗濯機から出した後の干し方も重要です。
ハンガーにかけて吊るすと、水分を含んで重くなったレーヨンは、自分の重さで肩の部分がボコッと突き出たり、丈が不自然に伸びたりします。
型崩れを防ぎながらシワを伸ばすには、平らな網の上で乾かす「平干し」が理想です。
平干しネットがない場合は、テーブルの上にタオルを敷き、その上に形を整えて広げるだけでも構いません。
この時に手のひらで軽く叩いてシワを伸ばしておけば、乾いた後のアイロンが格段に楽になります。
クリーニング屋のアイロンはなぜ違う?
どうしてもシワが取れない時や、大切な一着は無理せず私たちプロに任せてください。
クリーニング店のアイロンが自宅と違うのは、「蒸気の量」と「バキューム(吸い込み)」の力です。
私たちは、蒸気で繊維を一瞬で緩めた直後に、アイロン台から空気を強力に吸い込んで、繊維を一気に冷やして固定します。
これによって、表面を潰さずにふっくらとした立体感を出しながら、頑固なシワだけを消し去ることができるのです。

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