お気に入りのポリエステルのブラウスや体操着。黄ばみが気になって「漂白剤で真っ白にしよう!」と張り切った結果 なぜか逆に全体が黄色くなって絶望したことはありませんか。実はポリエステルは非常に丈夫な反面 漂白剤の選び方や温度を間違えると取り返しのつかない変色を招くデリケートな一面も持っています。
クリーニング店主として毎日大量の衣類を蘇らせ 家では子供の泥汚れと格闘する母でもある私が 失敗しないための漂白のコツを伝授します。プラスチックから生まれたポリエステル特有の性質を理解すれば 新品のような輝きを取り戻すことができますよ。
ポリエステルを傷めない漂白剤の「種類」と使い分け
ポリエステルを漂白する際 まず迷うのが「塩素系」か「酸素系」かという点ですよね。結論から申し上げますと 私たちプロがおすすめするのは圧倒的に「酸素系漂白剤」です。ポリエステルは石油から作られた合成繊維で 非常に安定した素材ではありますが 強力な塩素系漂白剤(ハイターなど)を使うと繊維を傷めるだけでなく 後述する「黄色い変色」のリスクが跳ね上がります。
白物であっても まずは衣類に優しい酸素系漂白剤から試すのが鉄則です。色柄物であれば なおさら酸素系一択となります。漂白剤を選ぶ際は 以下の表を参考に「今 目の前にある汚れ」が何であるかを見極めてくださいね。
| 漂白剤の種類 | 特徴 | ポリエステルへの適性 |
| 酸素系(粉末) | 洗浄力が強く 黄ばみや除菌に効果的 | ◎(一番おすすめ) |
| 酸素系(液体) | 穏やかな効き目で ウール混などにも安心 | 〇(軽い汚れ用) |
| 塩素系(液体) | 殺菌・漂白力は最強だが 変色リスクが高い | △(最終手段・白物のみ) |
逆に黄色くなった!ポリエステルが漂白で変色する意外な落とし穴
「白い服を塩素系漂白剤につけたら黄色くなった」というトラブル。実はこれ ポリエステル素材に施されている「蛍光増白剤」という成分が原因であることが多いのです。メーカーは服をより白く見せるために蛍光剤でコーティングをしていますが 塩素系漂白剤はこのコーティングを破壊し ポリエステル本来の「少し黄みがかった色」を剥き出しにしてしまいます。
一度こうなってしまうと 残念ながら元に戻すのは非常に困難です。また 生地に残った皮脂汚れが塩素と反応して定着してしまうこともあります。真っ白を保ちたいなら 塩素系ではなく 蛍光剤入りの洗剤と酸素系漂白剤を組み合わせて使うのが一番の近道ですよ。
漂白剤でも落ちない黒ずみ、油汚れを根こそぎ落とす「40度」
「何度も漂白しているのに なんだかグレーっぽく黒ずんでいる」という悩み。これはポリエステル特有の「親油性(しんゆせい)」が原因かもしれません。ポリエステルは油と非常に仲が良いため 体から出た皮脂や排気ガスの油分を磁石のように吸い寄せ 繊維の奥に閉じ込めてしまいます。
この「油の膜」がある状態では いくら上から漂白剤をかけても成分が奥まで届きません。解決策はシンプルです。水の温度を「40度から50度」に上げること。この温度で洗うことで油が溶け出し ようやく漂白剤のパワーが発揮されます。冷たい水での漂白は ポリエステルにとっては効果が半分以下だと思ってくださいね。
熱湯はNG?ポリエステルを熱による「溶け・縮み」から守る温度の境界線
洗浄力を高めるためにお湯を使うのは良いことですが 「熱ければ熱いほどいい」と熱湯をかけるのは絶対にやめてください。ポリエステルは熱に弱く 一定の温度を超えると繊維が変形したり 固まったりする性質があります。
クリーニングの現場でも ポリエステルを洗う際は最高でも60度までに抑えます。家庭で行う場合は お風呂の温度より少し高めの「50度」を上限にしましょう。これ以上の高温で漂白すると シワが永久に取れなくなったり プリーツ加工が取れたりする致命的なダメージに繋がります。温度計がない場合は 「手で触れるけれど ずっと入れているのは熱い」くらいが目安ですよ。
他の服の汚れを吸い取る「再汚染」の解消法
ポリエステルの黒ずみのもう一つの原因が 洗濯中に他の服から出た汚れを吸い取ってしまう「再汚染」という現象です。ポリエステルは洗濯液に溶け出した泥やインクなどの汚れを 再び自分の中に取り込んでしまう困った性質があります。
これを防ぐには 「汚れのひどいものと一緒に洗わない」ことが第一ですが もしグレーになってしまったら 多めの水で かつ洗浄力の強い「粉末の酸素系漂白剤」でつけ置き洗いをしてください。水量を増やすことで 汚れが再び付着するのを物理的に防ぐことができます。ネットに入れて洗うのも 他の衣類との摩擦による汚れ移りを防ぐ有効な手段です。
色柄物も安心?ポリエステルの鮮やかさを守るための「酸素系」活用マニュアル
色鮮やかなポリエステルのユニフォームやドレス。色落ちが怖くて漂白をためらっているなら 「液体」の酸素系漂白剤から試してみましょう。粉末よりもアルカリ度が低いため 染料へのダメージを最小限に抑えつつ 気になる臭いや菌をリセットできます。
使い方のコツは 汚れが気になる部分に直接原液を塗布し そのまま洗濯機へ入れること。時間を置きすぎると色が抜けることがあるので 塗ったらすぐに洗うのがポイントです。これで お気に入りのデザインを損なうことなく 清潔さをキープできます。
液体か粉末か?洗浄力とダメージのバランスを見極める「酸素系」の選び方
一口に酸素系漂白剤と言っても 液体と粉末では全く別物です。液体は弱酸性で 除菌や消臭が得意。粉末は弱アルカリ性で シミ抜きや黄ばみ取りが得意です。
ポリエステルの白いワイシャツや体操着を真っ白にしたいなら パワーの強い「粉末」を選んでください。一方で デリケートなブラウスや 色を大切にしたい服なら「液体」を選びます。この使い分けができるようになればもう洗濯の達人です。
つけ置きは何分まで?繊維をボロボロにしないための「放置時間」の限界
最後に 「長くつければつけるほど綺麗になる」という思い込みを捨てましょう。漂白剤の化学反応にはピークがあります。酸素系漂白剤の場合 お湯に溶かしてから「30分から1時間」が最も効果的です。
それ以上長く放置しても 漂白効果は上がらず 逆にポリエステルの繊維自体を傷めたり せっかく落ちた汚れが再び繊維に戻ったりするリスクが高まります。タイマーをセットして 適切な時間で切り上げる。これが 服を長持ちさせながら真っ白にするためのプロの鉄則ですよ

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