冬になると手放せないユニクロの「ヒートテック」。いったいなぜ、ヒートテックはこんなに暖かいのでしょうか?その秘密は、ヒートテックに使われている素材と、その素材が持つ特別な機能にあります。
ヒートテックの主な素材は、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ポリウレタンです。これらの素材が最高の配合で組み合わさることで、ヒートテックならではの暖かさが実現してます。
水分がもたらす涼しさ、温かさの秘密
皆さんは、暑い夏に打ち水をすると涼しくなることをご存知ですか?これは、水が蒸発する際に周囲の熱を奪う「気化熱」という現象を利用しているんです。
打ち水で涼む仕組み
例えば、地面に水を撒くと、水が蒸発する際に周りの熱を奪います。すると、空気の温度が下がり、涼しく感じるのです。これは、冷蔵庫の冷却原理と同じように、気化熱を利用した冷却効果なのです。
吸湿発熱で暖まる仕組み
一方、冬に暖かいと感じる「ヒートテック」のような衣類は、全く逆の現象を利用しています。
私たちの体は、冬でも1日にコップ1杯分ほどの汗をかいています。この汗は、目に見えない水蒸気として体から出ています。ヒートテックの素材の中には、この水蒸気を吸収して熱を出す「吸湿発熱」という性質を持つものがあります。
つまり、ヒートテックを着ていると、体から出た水蒸気が繊維に吸収され、その際に熱が発生するのです。この熱が身体を温めてくれるので、冬でも暖かく過ごせるというわけです。
ヒートテックが暖かいのはなぜ?
寒い冬に手放せないアイテムとなった「ヒートテック」。ユニクロと東レが共同開発したこの素材は、一体なぜこんなに暖かいのでしょうか?ヒートテックの暖かさの秘密を、素材の視点から詳しく解説していきます。
ヒートテックはポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、アクリルといった複数の化学繊維を組み合わせて作られています。この組み合わせが、ヒートテックの暖かさを生み出す上で重要な役割を果たしているのです。
レーヨン:吸湿発熱の働きでポカポカ
レーヨンは、シルクのような光沢と滑らかな肌触りが特徴の繊維です。その最大の特長は、高い吸湿性。私たちの体が発する汗などの水分をグングン吸収し、その際に熱を生み出すのです。この熱を「吸着熱」と呼びます。まるでこたつに入ったように、身体の芯から温めてくれるのは、このレーヨンの吸湿発熱効果のおかげです。
アクリル:暖まった空気を逃がさない
レーヨンが生み出した熱を逃がさないように保温してくれるのが、アクリルです。ヒートテックに使われているアクリルは、極細の糸に撚りをかけて作られた「マイクロアクリル」と呼ばれる特殊なものです。このマイクロアクリルは、繊維の中にたくさんの空気を閉じ込めることができます。暖かい空気を逃がさずに保温してくれるので、一度温まると、その温かさが長時間持続するのです。
ヒートテックには、「エクストラウォーム」という通常のものより保温効果が高いものがあります。これらの違いは、主にアクリルの比率です。アクリルの比率が高いほど、保温効果が高くなります。
ヒートテックのメリット
ヒートテックは、薄くて軽いのに暖かいという、画期的な機能性インナーです。その魅力を、具体的な例を交えてご紹介します。
1. 薄くて暖かいので、重ね着してもすっきりとしたシルエットに
ヒートテックの最大の魅力は、なんといってもその薄さです。「こんなに薄いのに本当に暖かいの?」と疑ってしまうほど、生地は非常に薄く、柔らかくできています。そのため、重ね着をしてもごわつくことなく、すっきりとしたシルエットをキープできます。例えば、冬に定番のニットやコートの下にヒートテックを着ることで、保温性を高めつつ、スタイリッシュなコーディネートを楽しむことができます。
2. 肌触りがよく、ストレスフリーな着心地
ヒートテックは、肌に触れる内側が非常に柔らかく、なめらかな素材で作られています。そのため、敏感肌の方でも安心して着用できます。また、静電気も起きにくいため、不快なパチパチとした刺激を感じることもありません。まるでセカンドスキン(第二の皮膚)のように、体に優しくフィットし、ストレスを感じさせない着心地が魅力です。
3. 軽いので、長時間着ていても疲れにくい
冬服は、厚手の生地を使用しているものが多く、どうしても重くなりがちです。しかし、ヒートテックは、非常に軽い素材で作られているため、長時間着ていても疲れにくいです。特に、アウターを重ね着する冬場には、この軽さが大きなメリットとなります。
4. 洗濯しても型崩れしにくく、耐久性が高い
ヒートテックは、繰り返しの洗濯にも強く、型崩れしにくいという特徴があります。毎日着用しても、その形状を長く保つことができるため、経済的です。また、速乾性にも優れているため、汗をかいてもすぐに乾き、いつでも清潔な状態で着用できます。
5. 様々なアイテムと組み合わせやすい
ヒートテックは、Tシャツやタートルネックなど、様々なアイテムがあります。また、カラーバリエーションも豊富なので、自分の好きなコーディネートに合わせて選ぶことができます。例えば、カジュアルなスタイルにはクルーネックのヒートテックを、きれいめなスタイルにはタートルネックのヒートテックを合わせるなど、様々な着こなしを楽しめます。
ヒートテックの意外な落とし穴!知っておきたいデメリット
暖かくて便利なヒートテックですが、実は知っておきたいデメリットがいくつかあります。
汗をかく場面でのヒートテックは要注意
ヒートテックは、私たちの体が出すわずかな水分を吸収して熱に変えることで、体を温めてくれる機能を持っています。しかし、この仕組みの裏側には、汗を吸いやすく、乾きにくいという性質が隠されています。
例えば、運動や屋外作業など、汗をたくさんかくような場面でヒートテックを着ていると、汗が乾きにくいため、体が冷えてしまうことがあります。これは、汗が蒸発するときに熱を奪われるからです。
また、ヒートテックは、汗をたくさんかいた場合、そのすべてを吸収しきれないことがあります。吸収しきれなかった汗が体にまとわりつき、冷えの原因となるのです。
乾燥肌の方やアレルギー体質の方にも注意が必要
ヒートテックは、汗を吸収する性質があるため、肌の水分まで吸収してしまうことがあります。そのため、乾燥肌の方にとっては、肌の乾燥を悪化させてしまう可能性があります。
また、ヒートテックは化学繊維でできているため、化学繊維アレルギーを持っている方は、かゆみやかぶれなどの症状が出る場合があります。
MRI検査を受ける際は着用禁止
ヒートテックは、金属を含んでいるため、MRI検査を受ける際には着用できません。MRI検査では、強い磁力が発生するため、金属製のものが体内に入ると、火傷や組織の損傷を引き起こす危険性があります。
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